禁じられたブドウの復活 「Uhudler(ウーフドラー)」ワインの魅力

オーストリアの異端児ワイン「Uhudler(ウーフドラー)」をご存じですか?

ある晩、夫がブルゲンラント州のユニークなワインを食卓に出してきました。グラスに注がれた瞬間、ストロベリーやラズベリーを思わせる豊かな香りが立ち込めました。一口飲んで、思わず声に出してしまいました。「これ、本当にワイン?」と。独特なフォクシーな香りに最初は戸惑いを感じましたが、その歴史を知り、何度かUhudlerのフリザンテ(Frizzante)を楽しむうちに、その魅力にすっかり引き込まれてしまいました。


Uhudlerの波乱万丈な歴史

Uhudlerの物語は、19世紀後半にさかのぼります。ヨーロッパ中のブドウ畑を壊滅させたフィロキセラ(根アブラムシ)の猛威から逃れるため、オーストリア南東部のブルゲンラント州では耐性のある直接生産種(アメリカ系品種)のブドウが栽培されました。このブドウから生まれたのが、Uhudlerの始まりです。

<Uhudlerの歴史を説明する看板>

しかし、その後の道のりは決して平坦ではありませんでした。20世紀に入り、ヨーロッパのワイン法が厳格化。健康への悪影響が懸念され、Uhudlerは「違法」なワインのレッテルを貼られてしまいました。地元の人々は、この伝統的なワインを守るため、長年にわたって闘い続けました。そして遂に1992年、オーストリアのワイン法改正により、Uhudlerは安全性が認められ合法的に生産・販売できるようになったのです。まさに、地域の人々の情熱と伝統を守る意志が勝ち取った勝利といえるでしょう。


Uhudlerの特徴


原産地:ブルゲンラント州南部が主な生産地

製法:ノア、イザベラ、コンコードなどのアメリカ系直接生産種ブドウを使用

味わい:独特のフォクシー(キツネっぽい)な香りと、ストロベリーやラズベリーを思わせる果実味が特徴

外観:赤ワインでありながら、美しいルビー色を呈する

アルコール度数:10〜11%程度と、通常のワインよりやや控えめ

生産方法:有機栽培にこだわる生産者が多く、添加物を極力使用しないナチュラルワインとしても注目を集める

生産量:小規模で限定的


Uhudlerを楽しむ多彩な方法

Uhudlerの個性的な味わいは、様々な楽しみ方を可能にします。アペリティフやデザートワインとして、その魅惑的な香りを堪能するのも良いでしょう。オーストリアの郷土料理はもちろん、アジア料理など幅広いメニューとの相性も抜群です。

赤ワイン、白ワイン、スパークリング、リキュール、そして秋に人気の新酒「Uhudler-Sturm(ウフドラーシュトゥルム)」など、バリエーション豊かなウフドラーを是非お試しください。


Uhudlerを巡る魅惑の旅

「オーストリアのトスカーナ」と称されるブルゲンラント州。このピクチャレスクな田園地帯を舞台に、Uhudlerの生産地を巡る旅は、新たな発見の連続です。

Wine Museum Moschendorfは、ブルゲンラント州のモッシェンドルフ村にある魅力的なワイン博物館です。18世紀の古農家を改装したこの施設では、オーストリアのワイン文化の歴史だけでなく、地域に伝わる興味深い伝説も学ぶことができます。

訪問者は伝統的なワイン製造技術や道具の展示を見学できるほか、ワインセラーでのテイスティングも楽しめます。

<子供の遊具もワイン造りで使われる木製の樽🍷!>

ウフドラーという名前の由来

実は、飲み過ぎた人の目つきや目の下のクマが、フクロウ(ドイツ語でUhu)に似ていることから名付けられたそうです。ユーモアのセンスも感じられる、味わい深いワインですね。

Uhudlerは、オーストリアワインの世界ではまだ知名度の低い存在かもしれません。しかし、その独特の魅力は、一度体験すると心に深く刻まれるものです。機会があればぜひブルゲンラント州を訪れ、Uhudlerの魅惑的な世界に浸ってみてください😊


Prost!🍷


コメント

Yuri さんのコメント…
ウフドラー、日本でも飲めるのかな?探してみます🤩
kay さんの投稿…
日本でも食後にゆったりとデザートワインを飲む習慣を取り入れたいです🥂
Frauクラーサ さんの投稿…
Yuri、お口にあうかしら?変り者ワインの位置づけだから一生に一度はぜひにー🍷
Frauクラーサ さんの投稿…
Kayさん、食前食後グビッと!