オーストリアはシュタイアーマルク州西部の特産品、"Schilcher"(シルヒャー)との出会いは今から7年ほど前のこと。夫がオーストリア土産として日本に持ち帰ったのが最初でした。
当時の私にとって、ワインといえばフランスのブルゴーニュやボルドー、イタリアのサンジョヴェーゼ、さらにはニューワールドのオーストラリアのシラーやニュージーランドのピノ・ノワールが主な関心事。オーストリアワインは未体験で、まして初めて目にしたシルヒャーには「ロゼ?きれいな色合いだな」程度の印象しかありませんでした。
しかし、期待せずに口にしたそのワインは、なんともフレッシュな酸味とフルーティーな味わい!ここからお気に入りワインとしてSchilcherとのお付き合いが始まりました。
シルヒャーの歴史
シルヒャーの歴史は16世紀にまで遡り、フランスのクレレやスペインのクラレテと並び、最古のロゼワインの一つとされています。このブドウは、かつては野生種で、激しい酩酊を引き起こすとされるアルコール化合物を含んでいると言われていました。そのため、俗称として「Rabiatperle (狂った真珠)」という俗称で呼ばれていたという説もあるほど、その存在感は際立っています。
2018年には原産地呼称(PDO)のステータスを獲得し、「シルヒャー」の名称は特定の生産基準を満たしたワインのみに使用が許可されるようになりました。
シルヒャーの特徴
• 使用ブドウ品種:100%ブラウアー・ヴィルドバッハー
• 生産地域:西シュタイアーマルク(グラーツとスロベニア国境の間)
• 色調:サーモンピンクから明るい赤まで様々
• 香り:赤い果実(特にイチゴ)や柑橘系の香りが特徴的
• 味わい:高い酸味と豊かな果実味、軽いボディが特徴
• アルコール度数:通常11〜12%程度
シルヒャーの魅力は、その独特の味わいだけでなく、地域の歴史や文化を体現している点にもあります。わずか458ヘクタールの栽培面積は、オーストリア全体のブドウ畑のわずか1%に過ぎませんが、その希少性がシルヒャーの価値をさらに高めています。
若いうちに飲むのが最適とされるシルヒャーは、冷やしてアペリティフとして、または軽い料理と合わせて楽しまれます。シュタイアーマルクの郷土料理、特にフライドチキン(バックヘンドル)や豚肉料理、パンプキンシードオイルを使ったサラダなどと相性が抜群です。
グローバル化が進む中、シルヒャーのような地域に根ざしたユニークなワインの存在は、貴重な気がします。その独特の特徴と地域性により、オーストリアワインの中でも特別な存在として知られるシルヒャーは、是非一度試してみる価値のある興味深いワインです💜💚💙
Grüß Gott❤

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